2020年2月7日訪問
歴史を伝える異色の「飛び地」商店街
神奈川県横浜市保土ヶ谷区にある相鉄線星川駅。近年高架化工事が終了。
改札口回りはまだまだ仮設の雰囲気。
駅北側にある帷子川を渡ると、保土ヶ谷区の官庁街が広がる。
官庁街を東へ抜けた先にあるイオン天王町店。2020年2月9日に建て替え工事のため閉店した。
老兵。
住居フロア・立体駐車場棟と衣料・食品フロア棟が分かれた面白い構造。路地裏みたいなところもある。
店舗東側には、イオンにぶつかるように東西に延びる天王町商店街。ネーミングライツで「YCVテレミン商店街」というらしい。
しばらくすると旧東海道の道筋にあたり、北へ向かう。南へ向かうと相鉄線の天王町駅があり、1駅分東へ歩いたことになる。
国道16号線にぶつかると、そこから先は「ハマのアメ横」として知られる洪福寺松原商店街となる。国道16号線は横浜駅から相鉄線沿いに旭区の住宅地へと潜ってゆく路線バスが頻繁にやってくる。
国道をわたると雰囲気がガラリと変わる。道路まではみ出した商品、乱雑に積まれた段ボール…この「心地よい猥雑さ」が「ハマのアメ横」たる所以だ。
「やすさ」を謳うのには理由がある。それは洪福寺松原商店街の前身が「松原安売り商店会」「洪福寺商栄会」という組織だったからである。
では「きやすさ」とは何か? 現在では最寄り駅の相鉄線天王町駅でも徒歩6分くらいかかる。お世辞にも交通至便な立地ではないように思うが…
その答えも商店街の歴史にある。実はこの商店街のある洪福寺地区は、現在は廃線となった横浜市電やトロリーバスが集まるターミナルだったのだ。
市電やトロリーバスはすべて路線バスへと置き換えられた。つまり現在では国道1号線や国道16号線をひっきりなしにやってくる路線バスこそ、洪福寺松原の「きやすさ」の所以なのだ。
洪福寺松原商店街は「ハマのアメ横」として観光地化した側面もあるのかもしれないが、交通機関や利便性が変わっても、その勢いに大きな変化がないという点は、商売には"なじみ"や"つきあい"といった「人間関係」という定量化できない要素が影響することもあるということなのか。商いという現象の面白さを感じさせてくれる場所だった。