2019年11月14日/2019年11月15日訪問
8時間くらいかけ、福岡から眠る九州を縦断し、未明6時の天文館に放り出される。
この時乗った桜島号夜行便も運行休止になるとかで寂しい。
寒い。腹減った。マックぐらいあるやろwと軽い気持ちで地方中心市街地の朝6時(しかも11月)来てしまった。6時の天文館は完全にまだ夢の中である。鹿児島とて11月なのだからそれなりに寒い。
暗闇でもわかるどぎついピンクに鹿児島流の手荒い歓迎を受ける。希望の光だったコメダは7時オープンで中では店員が一人せっせと開店前掃除をしていた。あとちょっとで「開けて!(ドンドンドン!)」とやりそうになる。
写真ではわかりづらいが、アーケードの照明が落ちており、なにより暗い。
暗い眠い寒いでスマホで調べることすら面倒に思える。
あった!!!!!!!!なんか妙にギラギラしてるけど!!!!!ゆっくりできるやつ!!!!!!
桜島号夜行便で天文館へお越しの際は覚えておきましょう。開いてるのはモスくらいです………まぁ桜島号夜行便がもう廃止されるので未明6時に天文館をさまよう旅行者はもう現れることはないのでしょうけど。
ここで路面電車が動き出し、まちが動き出すのをうとうとしながらしばらく眺めていた。
さて、仕切り直しです。
天文館・金生町エリアは鹿児島県の県都、鹿児島市の中心部となる地域。
鹿児島の中心市街地はこの天文館・金生町エリアと鹿児島中央駅周辺の2核構造となっている。鉄道が通る以前から市街地であった天文館・金生町エリアに対し、鉄道の発達とともに成長してきたのが鹿児島中央駅周辺。という割とよくある構造。
原色。
路面電車の走るいづろ通り。
アーケードはのちに詳しく見ていきたい。
路面電車はいづろ交差点で東西から南北へと進路を変える。
路面電車が北へと曲がった先が金生町。ということになる(電車通りは金生通りという名前がついている)。ちなみに金生町には鹿児島の地場百貨店「山形屋」がある。
いづろ交差点から西を見る。この先が天文館であり、さらに進むと鹿児島中央駅がある。
つまり天文館・金生町エリアは南東へ突き出した「逆くの字」型のまちになっている。
いづろ交差点から金生町方面(北)へ曲がらずそのまままっすぐ(東)進むと、港の方面へと進むことになる。
鹿児島において地味に大きな存在感があるのが「港」の存在である。錦江湾の対岸へ渡る桜島フェリーはとにかく有名だが、そのほかにも、より大隅半島の奥へと渡れるフェリーや大隅諸島・トカラ列島への離島航路などもあり、港湾都市としての側面も大きいのだ。
ただ高松のように旅客船乗り場が集約されてあるわけではないので機能的な存在感は弱いが、どうにもまちが「港」を向いて設計されているような、まるで「離島の都市」のような感覚を覚える。
これはご機嫌ナナメの桜島。
港の再整備の中で生まれた商業・観光施設「ドルフィンポート」は、山形屋を中心とした地元財界による共同出資で運営されていたが、天文館からも若干距離があり、各航路の乗り場が散逸している(市内5か所に旅客航路の乗り場がある)という鹿児島特有の事情もあってか人が集まらず、微妙な立ち位置に甘んじている(と思ったら2020年3月末で土地の定期借地期限切れで閉鎖されたようです。)
右奥のうねうねした屋根の建物が桜島フェリーの乗り場。
桜島フェリー乗り場に集まる市営バス。船が市営なためか桜島フェリー連絡はもっぱら市営バスの路線ばかりである。
クルマと一緒に飛び乗るような尾道ほどではないが、わりと気軽に乗れる。
さて、翌15日。アーケードをもう少し歩き回ることにします。
いわさきバスで昨日未明で放り出されたあたりにまた放り出されます。
鹿児島の路線バスはとにかく「ナワバリ意識」が強い印象で、バス停も会社によって位置が違ったり、位置が同じでもポールが別で…などなど。
天文館の交差点から南側を見る。「天文館G3アーケード」横の巨大な空き地は「タカプラ」という2018年に閉店した商業施設の跡で、再開発計画が進展中。2022年完成予定ということで、東京建物系のプライムプレイスによる商業施設が低層部に入居するほか、市によって図書館も作られるらしく期待が持てる。
まち歩きのプロ。
北側に行きましょう。北側は「天文館本通り商店街」。
地元商店とチェーン店舗と歓楽街的機能がないまぜになっている印象。
天文館本通り商店街を軸に東西にもアーケードがのびる。
令和の時代にアーケードをかけたい!という熱さ。アーケードもまだまだ捨てたものじゃないのだ。
スマートな店と
地元感ある店がごちゃまぜになっている面白さがある。
御着屋交差点。交差する照国通りは写真奥に見える照国神社の表参道としての機能がある。天文館と金生町の地区の「なんとなく」の境目でもある。
照国神社を背に南東へ歩く
中町交差点。中町コアモールの入口で、ここからは山形屋の周囲で発展した商店街(金生町エリア)という風情が強くなってくる。
逆を向いてはいから通り。こちらは天文館本通り側ということになる。
天文館と金生町を「なんとなく隔てる」照国通り。右奥が中町交差点。
照国通りと路面電車が通るいづろ通りの交点にある「マルヤガーデンズ」。2009年に閉店した三越鹿児島店の跡を利用した商業施設で、天文館エリアでは貴重なナチュラルで若者向けといったテイストの施設。
いづろ交差点付近から西側(天文館エリア)をみる。
ちょうど都市軸が東西から南北へと変化するあたりには、縦横無尽にアーケードが駆け巡っており、方向感覚を失う。
南北にのびる山形屋の南西角にあたる辻。
歓楽街的な雰囲気も感じさせる天文館本通り周辺より「商業」としての厚みと純度があるが、一方で主要顧客層の年齢はより高めな雰囲気。
アーケードがどっちに向いてもある(しかも曲がっている)というカオスでいかんとも場所の説明がしがたい。
商店街「中町ベルク」の北端付近は、山形屋メインの1号館と裏手(西側)にある2号館のはざまに位置し、連絡通路のように買い物客が両棟間を行きかう。
中町ベルクの電車通り(金生通り)側出口。
大変レトロチックな外観の山形屋1号館。1999年に復元されたものだとか。
山形屋の向かいに巨大なビルが建設されており、この一等地にどんな複合再開発が行われるのかと思ったら鹿児島銀行の本店と思しき業務ビルであった。
金生通りを北上していくと鹿児島駅にあたり、西・南方面へ向かう路線バスの終起点となっている。そのため鹿児島駅で終点となるバス用のバス停(終点が近いため実質降車専用バス停のようなものだ)と鹿児島駅を越えて北部方面へ向かうバスの停留所が分かれている。
ほんらいであればアーケード群の西の端にあたる天文館交差点にあったタカプラと山形屋の2核でその間を歩行者がアーケードを通過する、という図式が天文館にとって幸せなのだろうが、長い間鹿児島の百貨店事情(タカプラもかつては百貨店的商業施設であった)は山形屋の一強という時代が長く、その極端なバランスが現在に至るまでの天文館・金生町エリアの賑わいの濃淡(と微妙な一体感)を生み出しているようにも思える。
だからこそ、タカプラ跡の再開発事業は今後の天文館エリアにとって、非常に大きなチャンスになるのだろうと思う。やり方次第では今以上に明確な形で若者向けの「天文館」と中高年向けの「金生町」という個性を分けた生き残り方が見えてくるのではないかという気もする。
現在は若者向けの需要を郊外や鹿児島中央駅のアミュプラザ鹿児島に吸われがち(マルヤガーデンズが孤軍奮闘しているが)な天文館にとって、"山形屋城下町"の影響下からうまく脱し、若者の求心となりうる形の再開発を期待したいところだ。
さて、今度は鹿児島中央駅のほうに向かってみようと思う。
続く………か???????