2016年8月26日/2018年9月17日訪問(特記なき場合2018年撮影)
印旛の台地に広がる知られざるみどりの邸宅街
2016年撮影
臼井は、千葉県佐倉市にあるまち。京成本線が通り、上野から40km強の位置にある。特急などの優等列車は停車しないため、都心へは1時間くらいかかる。
現在の駅は1978年に土地区画整理事業に伴い移転したもので、駅前から整然としたまちなみが広がる。
2016年撮影
京成臼井駅。1978年の移転までは京成佐倉寄りに500mほど行った国道296号線(成田街道)との踏切の場所にあったらしい。確かに地図を見ると「臼井郵便局」などそのエリアが地域の中心であった名残が見られる。
2016年撮影
駅前にある「レイクピアウスイ」。地元主導のショッピングセンターとして1984年に開業。
2016年撮影
レイクピアとは「湖(印旛沼)畔のまち」という意味なのだという。
2016年撮影
核店舗はイオン臼井店。
2016年撮影
レイクピアウスイの裏手にある、三越の小型ショップ「三越臼井」。
2016年撮影
乗降客数2万人の臼井の駅前に百貨店のショップがあるという事実に、周辺住民の所得層の高さを感じるところだ。
2016年撮影
2016年撮影
2016年撮影
2016年撮影
駅から南東方向に延びる目抜き通りを歩いていく。
王子台周辺
県道64号線を越えると、染井野地区へと入る。
染井野地区は大林組・東急不動産の合同による造成事業で。1991年に販売を開始した。
1980年代の一般的な住宅地といった風情だった王子台とは違い、人気のケーキ屋が似合う洒落た住宅街へと変貌する。
臼井駅から続く目抜き通りの終着点は、染井野の地域センターとなっている。臼井駅から1.5kmほどの位置になる。
ヤオコーを核とするザ・マーケットプレイス佐倉の場所には、2009年までイトーヨーカドー臼井店があった。
イトーヨーカドーが1999年の開業だったというから、10年しか営業しなかったことになる。建物も活用されず、勿体がなさすぎる。
ホームセンターの「イイテそめい野店」。ケーヨーデイツーが取り組む新業態で、近年のカインズのようなおしゃれなホームセンターといった路線を目指したい…らしいがその実態は微妙な感じ(かと思ったら最近普通のケーヨーデイツーに戻ってしまったそうです)。
大林組と東急不動産は、造成こそ共同で行ったにもかかわらず、分譲は土地を折半して別々で行った。そのため、統一された町割りに地区によって個性のあるまちなみが広がるのが面白い。
まずは「佐倉そめい野」という名称で分譲された大林組の地区。
凝った街路構成。
大林組は住宅を供給できないため、住宅メーカーと協力した「共分譲方式」をとりながら、後述する東急不動産の分譲地区との差別化を狙って純和風のまちなみを作り上げたのだという。
鮮やかな緑の生垣が続くのが気持ちいい。どこか地元、佐倉城下の武家屋敷地区を思い出させるのが面白いところだ。
大林組の「純和風街区」は結局のところは第一期のみしか採用されず、客寄せパンダ的な側面が強かったようである。
それでも、「染井野」という地区のイメージ醸成には大きく役立ったことだろう。
一方東急不動産分譲の「みずきが丘」。こちらの方が一般的な宅地といった雰囲気。
パステルカラーが映える。
佐倉といえば城下町としての佐倉市街地や山万による本格的なニュータウン「ユーカリが丘」の存在感が大きい。しかしその2地区に挟まれた、特急も止まらない臼井というまちで、こうした素晴らしい住宅地がひっそりと存在していることがとても楽しい。
住宅地開発は小規模でやろうと思えば地域の不動産会社でも取り組める「まちなみづくり」なだけあって、国内にはこうした「知られざる良質な住宅地」が日本中に存在することだろう。情報が散逸しがちなケースも多く、資料をたどる楽しみも大きい。
住宅地巡りは宝さがしだ。