お店の存在意義とはどこにあるのだろう。
京成線八千代台駅から徒歩20分。なんてことない住宅地と工業団地の切れ目にふと、たたずむ。
夕暮れでアンニュイ。
イトーヨーカドー東習志野店は、1994年の開業。冒頭の通りとても変な場所で営業しており(そもそも東習志野ってどこ?となる)、南北と西を工場に囲まれている。
さらにマクロな視点で見れば、北側に陸上自衛隊の習志野練習場がデデンと横たわっていて、北方面からのアクセスは八千代台駅辺りまで回り込むことになる。ヘンな立地である。
傾斜地に立っており、そのまま歩いていくと2Fに吸い込まれる。2Fエントランスの真下へと降りていく階段を降りると1Fエントランス。変なつくり。
変わった構造のエントランス
建物はことのほか立派で、これまた立派な立体駐車場が完備されている。やはりクルマ来店前提の店舗である。
入口周辺には駐輪スペースがある。足元人口が多い店舗の多いヨーカドーでは、自転車の数が一定のバロメターになる気がする。東習志野は数えられるくらいしか止まっておらず。
店内は非常に寂しいものであった。ヨーカドーには珍しく空き区画が放置されていたり、子供のプレイスペースに人っ子一人いなかったり、この「人のいなさ」はなかなかヨーカドーでは見ない。かつてはファミールなどもあったようだが閉店し、壁でふさがれている。食品レジも2~3台しか空いておらず。ただ1Fのフードコートには閑散としつつも、少し人がいてほっとする。
巨大な立体駐車場もなかなかに寂しい
この店舗、ヨーカドー側より施設所有者に賃貸借契約の解約申し入れが飛んでいる物件である。まだ正式発表はなされていないが、解約日となった2017年6月には閉店してしまいそうな勢いである。
そもそも開業当初より津田沼店や志津店(閉店)、長沼店(これもまた閉店している)との自社競合の立地だと話題になったうえでの出店であったようだ。実際東習志野店開業後、津田沼店の売り上げがガクンと落ちたとか。
衣料品の不振が明らかになってきた1994年時点でも「商圏は点でなく面で考える(から重なっても気にしない)」なんて言っていたようだが、そんな余裕は早晩無くなり、周囲に立て続けに中規模程度のモールが林立するようになれば、東方面以外をすべて工場に囲まれた立地では厳しくなろう。
どうでもいいがダイエーがハイパーマートを出しそうな立地であるな…
ドミナント戦略として作られた東習志野店。長沼店、臼井店など、似たような理由で郊外に作られた店舗たちが軒並み閉店に追い込まれる中、よくここまで持ったものだった。
「置き駒」にも、地域の暮らしを支える矜持はあったことだろう。恵まれない環境と戦いながら、彼は自らの幕引きの可能性に何を思うか。
ハトの隊列
訪問日:2016年8月26日
【イトーヨーカドー東習志野店(サンヴェルショッピングプラザ)】
延床面積:27,100㎡
営業時間:10:00~21:00
駐車場台数:929台(開業時は1300台となっていたので一部閉鎖している?)
本屋さん:ときわ書房IY東習志野店(お店の人の手作り感がよい)
2016年6月 施設の賃貸借契約の解約を施設所有者に通知
2017年6月 賃貸借契約の解約予定日(=閉店?)