SHORAKUSHA

終わりがないフィルムのように続く、ある風景の備忘録

2019/12/03-相鉄沿線から考えるまちと自分にとってのストレス

相鉄沿線は妙に居心地がいい。

 

JR・相鉄直通線に乗りに行った。

何も決めずにふらっと出て、お腹が空いたのでぎょうざの満洲でぎょうざを腹に入れながら、友人と行く場所の相談。渋谷パルコや羽沢横浜国大のことが少しばかり気になっていたが今一つ気が進まないところを最後の一押しをもらう。

 

渋谷パルコは郊外の人間には狭く感じられる作りのように思った。テナントの是非はわからない。が、圧縮陳列じみたものも目立ち、やたらキレイでテナントのレベルだけ上げた109のような、ちょっとばかし狭くて、圧を感じる空間だった。

一棟のビルを軽く眺めただけでことのほか疲れたので、目の前にあるカフェマメヒコに避難をする。元の彼女としばしば通った店で、思い出をいまだに追っかけているようでダサい。自己批判自己批判

1杯1050円のカフェオレは妙に高いが、おかわり1杯無料とのこと。こんなシステムだったっけ……とりあえず、長居をしろということらしいが、相鉄の時間を気にしつつ、本を読んだり、LINEをぽちぽちとやって、2時間くらいで退散。おいしかったが2杯飲んで腰を据えるにはノマドでもなく(電源は有料だった)、ぼーっとするには少し狭い感じもあって、独り身だと使い道にちょっと困るなと思う。

電車が出発する10分前にカフェを出る。渋谷の埼京線ホームが遠いことは知っていたが、ほんとうに使わないので感覚的に間に合うのかわからない。速足で人並みを避けながらスクランブルを渡る。ここで足止めを食らわなかったのは大きい。

山手線のホームから中央改札へ上がった時点で時計を見ると発車6分前であり、これで大丈夫だろうとほっとした………はずが、ホームに降りてからが長かった!!!!!!

思った以上のスピードで突っ込んでくる湘南新宿ラインにホームの遠さを悟り、速足で歩き、結局2分前くらいに到着。やればできる。

海老名行きのアナウンスが鳴り、相鉄とJRどっちが来るかな…と思うと、遠くからギラリと光るツリ目の車両が入ってくる。相鉄の車両(20000系)だ。

ネイビーブルーの車両がJRのホームにたたずんでいるだけで異様だ。圧倒的存在感であり、相鉄線内で駅名標等と統一された中で見る存在感とは別の「浮き」方をする。まさに「相鉄の電車が走っている」とアピールするためのデザインだ。

ただ走りや内装の基本構造は基本的にはE233系と一緒で、グレーを基調とした内装は目を引くが意外と衝撃は少ない。個人的には12000系のインパクトを超えてはこない。

そんなこんなでとことこネイビーブルーに揺られながら南下する。ガラガラになるかと思ったそうでもなく、座席が半分埋まるくらいで推移している。意外だったのは武蔵小杉での乗車が結構あったことだ。やはり相鉄は川崎横浜のためのベッドタウンなのか?

トンネルを10分くらい超えた羽沢横浜国大で下車する。周辺は横浜近郊としては見慣れた感じで、少し歩くと畑が広がっていたりする。世が世なら爆発的に開発が進んだかもしれないが、日中毎時2本しかなく、かつ宅地として一定の開発が進んでいるエリアということを考えると大変貌は考えづらい。

羽沢横浜国大で1本落として二俣川へ。各停を乗り通したが西谷で横浜からの特急に接続する。特急からどやどやとかなりの数が乗りこみ、一気に座席が埋まる。それで気づいたが、西谷以遠の本線特急通過駅へのフォローになっているようだ。特急はこの後二俣川いずみ野線湘南台行きへの接続をとっており、この2段構えの接続構造がおもしろいと感じた。

 

1年ぶりくらいの二俣川では1つ確認しておきたいことがあった。11月末で破産した大和書店の雑貨店が確かジョイナステラスに入っているはずだ。跡はどうなっているかなと改札を抜けると真っ先に目に入ったシャッター………改札前の一等地のはずの場所には「ザ・リブレット ステーションは11月29日をもちまして閉店しました」とあった。連絡先が法律事務所なのが単なる閉店ではないことを匂わせていてなんとも物悲しい。

 

その後、小改装が入ったと聞いた三ツ境のライフを眺めてから帰宅したが、ふと思うことがあった、それが、冒頭の「相鉄沿線は妙に居心地がいい」ということだ。

確かにジョイナステラスのテナントレベルが自分にすごいマッチしているとか、そういうハード面もあるのだとは思うが、なぜか相鉄に乗っていると「部外者なのに自分も乗ってていいみたいな安心感」があり、まちにもそういう雰囲気があって、のんびりと緊張せず歩ける気がする。

理由は分からない。自分のアイデンティティの一部が神奈川にあるから……というのを真っ先に考える。それもあるだろうが、ひょっとして相鉄の「沿線の色」があるようでない、ないようであると絶妙だからなのではないかと考えたりもする。

勉強不足なだけかもしれないが、相鉄の沿線はどんな人でも住んでいる想像ができる。逆の例を考えれば、田園都市線沿線にはお金持ちが住んでる…みたいなケースが考えられる。その是非はさておき、この電車に乗る人はかくあるべしみたいな、沿線カラーとでもいうべき雰囲気を人知れず感じていて、それをわたしは人知れずストレスに感じていたのでは?とまで思えてくる。

とある鉄道沿線にストレスのなさを感じるということは、逆説的に考えれば普段まちを歩くだけでも自分は知らずのうちに結構なストレスを無意識的に感じているのかもしれないと思った。

こうした自分の中で隠れているストレスを顕在化させていく作業が大事なのだ。

 

また一つ、発見があったのでよし。

そして、それをなんとか記録した自分もよし。

こんどはもっと無駄をそぎ落として書きたい。

2018/07/10 鴻巣から加須にいく。

2018年7月10日。

新宿駅4番ホームは、遠出のにおいがする。

 

東京の西側に住んでいる人間だから、新宿駅に出て、そこから遠くへといざなってくれる列車で、真っ先に思い浮かぶのは湘南新宿ライン北行きだ。

そんなわけで、起き抜け、空を見るとどこまでも続く青い空に心が湧きたつ、けれどとりたてていきたい場所もないという朝は、気づくと新宿駅4番ホームにいることが多い気がする。宇都宮方面か、高崎方面か、川越方面かは、もはや「列車の運」。

 

そんなわけで、この日も無計画に籠原行きに飛び乗ったけれど、赤羽も、浦和も、大宮も、宮原も違う気がする。上尾もその後動くにしても行程が描きづらい…と思っているうちに上尾を過ぎる。選択肢が狭まっていく中、Googleマップとバス路線図を眺めながらあれこれ行程を練るのは心地よい緊張感がある。

そのうち、行程が少しずつ見えてきた。鴻巣で下車し、バスで加須、電車で羽生、行田、熊谷と回り、湘南新宿ラインでとんぼ返りだ。秩父鉄道の未乗区間も消化できるのでちょうどいいかもしれない。

 

鴻巣で列車を降りる。

 

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レトロなお天気予報装置。意外とアナログなシステムのもよう

鴻巣は以前にも来たことがある。

この辺りになると少しずつ首都圏の郊外という趣を脱しつつあって、のどかな雰囲気が駅前に漂い出すが、それでも平成に入ってから駅前再開発を行って、ちゃんとテナントが集まったモールが建てられるのだからこの勢いは間違いなく首都圏のソレだ。

再開発ビル「エルミこうのすショッピングモール」は鴻巣駅舎に直結しているが、改札の目の前、都会的なニューデイズの横に味のある駅そば屋「中山道」が駅構内にテーブルを出しているし、向かいには鴻巣市商工会の特産品紹介のガラスケースが置いてあったりする。こののどかさと都市の勢いの共存が、埼玉らしさという感じがする。

 

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おじさんがのんびりそばをすする横を、若い人たちが足早に改札を抜けていく

鴻巣で降りた時点で、もう暑さが一般的な「それ」とは違う。こもったような、逃げ場のないような全身で受ける「熱い空気」。これが関東平野の厳しさだ。クーラーのない駅構内でそばを食らう気持ちにもならず。冷房の効いた「エルミこうのす」で昼食を探す。モール内で見つけたアジアンダイニング(?)でトムヤムフォーを食べて午後の酷暑に戦うべく準備だ。

それにしてもインドのカレー系を中心として、上記のようなタイやベトナム系のメニューもそれなりに充実しているのがおもしろい。日本慣れしてそうな現地人シェフが「失礼します」とだけ言って出てきてトムヤムフォーは、香草が効いているような、日本ナイズされていない独特の風味で非常に勉強になる。セットのチャーハンもスモーキーな味わいで、これはこれで日本ではなかなか出せない味だ。厨房で現地語が飛び交うのはこういう飲食店でよくある光景だが、彼らは一体どういう経緯で埼玉の鴻巣で飲食店をやるに至ったのか、聞いてみようとちょっとだけ思ったがやめた。

 

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現地の味を知らないが現地の味なんだなこれが(と思うことにした)

 

13:33、加須車庫行きの朝日バスに乗車。

鴻巣はバス乗り場がわかりづらい。1番乗り場から4番乗り場まで見ても加須行きの乗り場が無い。1番乗り場は高速バスの乗り場のようだが……と思案に暮れていると、少し離れたところに列ができているのを見つけた。不審に思って近づくと、柱の裏側に加須行の時刻表が張ってあった。ここにも1番乗り場と書いてあり、1番乗り場が2つある仕様になっているようだ。番号を振る意味というのを考えてほしいところではある。

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2017年5月訪問時の鴻巣駅前。この左側(タクシーの奥)から加須行が出るのだけど…

炎天下バスを待ちながら「加須はここですか」と聞いてきたおばあちゃんと「複雑すぎる」と愚痴をこぼしあう。おばあちゃんは前にクルマで通って気になった酒造に行ってみるのだそうだ。クルマの移動はとにかく便利で予定の弾力性も高い。けどそういう突然気になったものへの対応力はすこぶる悪い。クルマは機動力に関しては思ったより弱い。予定を決めないでふらつく方が性に合うから、実はクルマで旅行するのは向いてない。自分にとっては。

鴻巣には埼玉県の免許センターがある。駅前から東へまっすぐ進んで2km弱のところにあるのだが、そのせいもあって鴻巣駅東口に入る路線バスは原則免許センターを1回は寄る形になっている。加須行の場合は免許センターを始発にして、鴻巣駅に寄ってから北へ進路を取る。なのでやってきたバスには免許取りたて(更新したて)と思われる若者が多く乗っていたが、鴻巣駅で全員降りてしまった。もはや直通させる意味がなさそうでもある。

加須行には15人くらいが乗り込む。意外と乗っているなあと思ったり。酒蔵おばあちゃんは途中の騎西町で降りるらしい。

使われ方は完全に首都圏のバスだが、なんだかのんびりしている。酒造おばあちゃんは手を置く位置が悪いのか、降りるつもりがないのに降車ボタンを押したりする。普段降りる人がいないバス停で鳴るボタンを不審に思ったのか、運転手が怪訝な顔で車内を見渡す。近くのおじさんが「おばあちゃん押しとるよ」、「あらあ、気を付けなきゃね」。

快調に走り出した加須行きのバスは、市街地を抜けて、畑のなかへと踊り出る。平野を貫く新幹線の高架が陽炎で揺れている。左右どこまでも見えそうな高架をくぐりながら、新幹線でも通らないかなと思いながら見ていたが、ついに通ることは無かった。

まばらな民家の間を抜け、少しずつ客を降ろしながら加須市に入る。ただ合併前は旧騎西町だった地域で、旧騎西町域に入ると、立派な商店街に突き当たる。

さすがに町として独立していただけあって立派な市街地が広がっている。あれだけ乗っていた乗客も騎西町のエリアでまとまって降りていく。おばあちゃんも旧騎西町の中心部で降り、旧騎西町を抜けるころには自分一人になった。

乗ったバスは加須駅を経由して市街地の西端にある車庫まで運行する。丁寧に南口も北口も寄ってくれる親切さだが、乗り通し客にとってはそこまでしなくてもいいのに…と思う。もはや加須をまたいで乗り通し人はいないということか。いやそもそも、騎西町を抜けてからはわたし一人なのだけども。

さすがに加須駅北口からは市内利用の乗客が数人乗りこんだ。もはや直通させる意味はなにもないお客さんの動向だ。まあこれは、あれだ。運用の都合というやつだきっと。それでもお客さんが望めなさそうな加須~騎西区間も毎時2本くらいは走るのだから、きっと足を向けて眠れない。

とはいえ加須駅北口を出たバスは市街地をあっさり南北に抜け、国道に出て、国道を真っ直ぐ西へ終点の加須車庫まで突き進む。最近経路変更をして、市街地を経由するのをやめたようだけれど、一体何があったのだろうか。

加須車庫まで行ってしまうと市街地まで舞い戻るのが大変骨が折れるので、途中の「不動岡高校前」で降りる。

 

降り立ったら目の前は高校ではなく、加須警察署だった。

鴻巣からこんな加須の奥まで乗り通す若者なんていないだろうから、運転士さんには「加須警察に駐車違反の罰金でも払いに来たんだろうか」と思われてんだろうなあ……と思いつつ降りる。実態は「市街地をふらふらする」という複雑で理解しがたいものだけれど。

 

降りた瞬間、「加須駅で降りりゃよかった」と思った。暑い。とにかく暑い。

でもここまで来てしまったから、しかたない。加須駅まで市街地を巡って、駅まで戻ろう。

 

きょうはここまで。(後半は暑さにへばって写真がない!)

続いてほしい…ね。

"狭間"に、正面きって-イトーヨーカドー八王子店

 

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イトーヨーカドー八王子店。

 

八王子に来訪したことのある外部の人は「あれ、八王子にヨーカドーなんてあったっけ?」って口をそろえて言う。

そりゃ当然、「八王子店」はJR八王子駅前ではなく、郊外、しかも中央線ではなく、京王本線でもない、京王高尾線狭間駅優等列車通過)からちょっとだけ歩いたところという、地元の人ですらイメージしづらい場所にあるからなのだ。狭間って地名もなかなかすごい……
なので基本的にクルマ、自転車での来店が主といったお店。

 

地元の人は「狭間のヨーカドー」なんて呼ぶようで、この店を「八王子店」だなんて呼ぶ人はあんまりいないとか。おまけに八王子2店舗目で「八王子店」だというから妙ですな…(八王子初出店は東部にある「南大沢店」)。

 

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開店は1999年だけど、銘板は1996年。

店内は「手堅いイトーヨーカドー」。若干さみしい箇所もあるのは否めないが、食品売場は改装されていて、きれいににぎやかになっていた。いいですねえ。

 

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2017年6月に、大和ハウス工業による大規模モール「iias(イーアス)高尾」の開業が決まった。商業施設面積5万㎡級で、なんと500m北側の超近隣地である。

 

www.daiwahouse.com

 

おそらく開業以来最大の危機(?)だろう。テナントを見ると狙っている客層もかぶりそうだ。近すぎて周辺の渋滞をあおりを食らう可能性まである。
昨今の会社の方針からすると、いろいろと不安な気がしてならないが、ぜひこの機会に思い切ったてこ入れで盛り上がってほしいところ。改装で思いっきり個性化したイトーヨーカドーが見てみたいなぁと趣味者は勝手に思うばかりである。

 

訪問日:2016年5月8日

 

イトーヨーカドー八王子店】

住所:東京都八王子市狭間町1462-2

店舗面積:17,681㎡

営業時間:10:00~22:00(1Fは9:00より営業)

駐車場台数:957台

本屋さん:くまざわ書店イトーヨーカドー八王子店(実は八王子創業のくまざわ。普通のくまざわ)

略史:1999年6月23日 イトーヨーカドー八王子店開業